ドーピングとは、個人の問題だけではなく、スポーツ全体の価値を損なうものであり、その中でも今回のプログラムは「アンチ・ドーピングを通して、スポーツの見方・スポーツへの関わり方を考える」というテーマで行われた。全てのスポーツ共通のルールであるドーピングについて、実例やグループワークを通しての学習を行った。
ロンドンオリンピックで世界記録を打ち立て優勝した女子のY選手(中国)のドーピング疑惑騒ぎを例にグループワークを行い、様々な立場に立って意見を出し合った上で、最後に「隣のレーンを泳いだアスリート」の立場に立って各グループ発表を行った。
「Y選手のパフォーマンスはすばらしかった」「自分には足りないところがY選手にはある」「最後の50mが男子選手よりも速いのはおかしい」といった意見が挙げられた。ドーピングを疑う意見も挙げられたが、基本的にはどのグループもY選手のパフォーマンスはすばらしかったという前提の基に話しをしており、ドーピングが行われていない「フェア」な状態で競技が行われているものという意識が受講生の中にはあるようだった。
ただし、立場によって見方は変わる。実際に隣のレーンを泳いでいた競技者のコーチはドーピングを疑うような発言を残している。このような場合、ルールには明文化されていない、「フェア」という定義を自分の言葉で表現できるようにならなければならない。受講生にはしっかりと「フェア」の意識を持ってほしい。